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活用事例

三重県立総合医療センター

薬剤部の知識資産を有効活用する環境整備を推進
求められた薬剤部の情報・知識資産の電子化・共有基盤

三重県立総合医療センター(一般416床、救命救急センター30床)は、人口約83万人の北勢地域を診療圏とし、地域医療の基幹病院として高度・特殊医療の充実を図るとともに県の三次救急を担う医療体制の要となっている。2012年4月に地方独立行政法人へ移行し、健全経営の下、地域社会の変化・ニーズに迅速、的確な対応ができる医療機関を目指し新たなスタートを切った。

独立行政法人化に伴い、薬剤部門も経営的視点で業務評価・改善、ビジョンの策定に乗り出した。「われわれも病院経営側の一員としてマネジメントシートを作成し、計画の遂行に邁進しています。いわゆるバランススコアカードの4つの視点(財務、顧客、内部プロセス、学習と成長)で薬剤部門の目標を共有し、日々の業務の指針とする活動です。その基本目標は、医師や看護師などの医療従事者が最大限の力を発揮するための環境づくりであり、薬剤部における情報や知識資産を電子化し、共有・活用する基盤づくりに取り組むことを今年度の柱としています」薬剤部長 日沖雅人氏は、部門としての戦略・ビジョンを説明する。

薬剤部長 日沖 雅人氏

薬剤部長 日沖 雅人氏

具体的には、薬剤部の情報・知識財産をデータベース化・共有化し、Webシステムを通じて約740台に及ぶ診療端末で活用する情報基盤を構築すること。その一翼を担うものが、医薬品情報一元管理システムとしてのJUS D.I.導入であった。

「従来は医薬品添付文書をはじめとするアナログ情報が多く、情報のトリアージが大変でした。イントラネット環境の中で、常に最新の医薬品情報を共有するシステムの存在が必須であり、かつ外部ネットワーク(インターネット)と物理的に分離した病院情報システムの中で利用できる環境を求めていました」(日沖氏)。


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添付文書を網羅、日々更新による最新の医薬品情報

三重県立総合医療センター薬剤部では、かつては120万円ほどかけて医薬品集を制作、3~4年に1回発行し、また改訂版発行までは情報改訂をまとめた追補版を配布していた。その後、同程度のコストで利用できる衛星回線を介して情報提供する医薬品情報自動更新サービスを導入。日沖氏が自らCGIを組んで院内ポータルで情報提供を行っていた。「いろいろ工夫しながら医薬品のマクロ情報(一覧情報)を見せ、さらに詳細なミクロ情報を提示する仕組みを作りましたが、手作業であることを含め限界がありました。利用している医師もいましたが、添付文書のコピーを送って欲しいといった依頼や電話による問合せは依然として多く、満足できる環境ではありませんでした」(日沖氏)と振り返る。

同病院のJUS D.I.導入の契機は、2011年8月から稼動したソフトウェアサービス社の電子カルテシステムへの移行である。日沖氏は、同電子カルテシステムがJUS D.I.の相互作用チェックとの連携実績が豊富だったこと、同氏が懇意にしていた大学病院の薬剤部でJUS D.I.を導入・運用していたことが採用を後押ししたという。

JUS D.I.の具体的な評価ポイント、採用を決定した動機を次のように日沖氏は指摘する。

  • (1)年間14,000件以上の添付文書改訂に対応する更新頻度(毎日更新)の多さにより、最新の医薬品情報を入手できること。
  • (2)国内で販売されている医薬品のほぼすべての添付文書が網羅されていること。
  • (3)添付文書情報を補完するインタビューフォームが提供されていること。
  • (4)相互作用データを搭載し、持参薬等との相互作用を容易にチェックできること(Advance版で対応)。
  • (5)製剤のレシピ作成、登録ができること。

こうした機能的評価に加え、「医療関係者専用サイト『Click-M.I』をサービス提供するなどトータルメディカルサプライヤーとして、医薬情報提供にも注力しているスズケンが販売元になっていること」(日沖氏)が重要なバックグラウンドであったと強調する。


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相互作用チェックをはじめ薬剤検索・情報提供が大幅に効率化

2011年8月の運用開始以来、JUS D.I.の利用頻度は順調に推移し、現在では月間1,800〜1,900回のアクセスがある。薬剤部による利用が大半を占めるが、医師や看護師など職種は不明ながら病棟、外来でのアクセスも多い。アクセス時間帯で見ると、業務時間中はもちろんだが、夜中の利用もあることから救急の場合や当直医が時間の余裕があるときに調べていることも。また、医事課での薬価調べとして利用されているケースも多く見受けられるという。


JUS D.I.の利用状況推移


JUS D.I.の利用状況推移

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「医師の間では、日常の診療業務の中でJUS D.I.にアクセスして情報を参照することが習慣化されてきています。以前のように添付文書を送って欲しいという依頼はほとんどなくなりました。電子カルテ端末から容易に利用できる点が非常に大きいと思われます」。医薬情報管理室専任の薬剤部主査 森尚義氏は、JUS D.I.の利用状況をこう説明する。

薬剤部主査 森 尚義氏

薬剤部主査 森 尚義氏

森氏は「改訂情報は頻繁に届きますが、それぞれの情報を見ていても断片的にしか理解できません。”すべての”添付文書を対象として、副作用あるいは禁忌薬剤などのキーワードによる組み合わせ全文検索が瞬時にできる点は非常に便利です。また、薬理作用別薬効分類がされているため、後発薬を含め同種同効薬を吟味することができ、薬事審議委員会での資料作成などにも役立っています」と活用のメリットを述べる。

薬剤部技師 生川 ひとみ氏

薬剤部技師 生川 ひとみ氏

薬剤部技師の生川ひとみ氏は、インタビューフォームが収録されている点を高く評価している。「収録されているインタビューフォームがかなりの種類を網羅しているので、配合変化の情報を参照したり製剤の安定性を調べたりする際に、とても役立っています。常備しているインタビューフォームのファイリングを参照していましたが、最新の情報でないこともあるうえ、わざわざ取り寄せる手間や時間のロスがありました」(生川氏)といい、最新の情報であることで安心して情報を利用できると指摘する。

業務補助職員 伊藤 実佐子氏

業務補助職員 伊藤 実佐子氏

業務補助職員の伊藤実佐子氏も、添付文書の依頼に対して素早く検索でき手間なく提供できるメリットを指摘する。「以前は病棟看護師に依頼された際にはファイリングした添付文書を探しだし、必要に応じてコピーして渡していました。現在は依頼されることも少なくなり、自ら検索して参照しているようです。仮に頼まれても手をかけることなく、すぐに対応できるようになりました」。また、伊藤氏は破損した薬剤の金額を算出するときなどにも重宝し、「従来は1つの薬価を調べるにも時間を要していた作業が、非常に効率よくチェック、算出できるので助かっています」(伊藤氏)という。

一方、ユーザーの多くが大きなメリットだとするのが、相互作用検索である。JUS D.I.では業務フローに応じてスピーディーかつ自在に薬剤の相互作用をチェックできる。特に持参薬との相互作用を調べる際に、従来は薬剤鑑別とチェック作業で30分程度かかっていた作業が大幅に短縮され、効率化された。「特に救急外来で薬を渡すときに服用中の薬との相互作用を質問されることがありますが、短時間で組み合わせ検索が行えるので非常に便利」という。


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情報提供環境の整備・充実に寄与するJUS D.I.



添付文書検索や相互作用チェックなど

医薬品情報提供業務でJUS D.I.は

有効に活用されている

JUS D.I.の運用は医薬品情報管理業務の効率化に相当の成果をもたらしているが、日沖氏は医療全体の質向上とともに病院経営の視点でも貢献度は大きいと指摘。その一例として、病棟薬剤業務実施加算(週1回100点)の算定を支援できる環境整備を挙げた。同加算は、データベースなどにより、必要な時に医薬情報管理室で管理している医薬品安全性情報等を容易に入手できる体制であることが前提で、医薬情報管理室の薬剤師と病棟薬剤業務を行う薬剤師の情報共有の確立、医薬情報管理室で管理している情報を医療従事者が容易に入手する方法などの環境整備が要件となる。

「いわゆる100点業務を推進していくとすると、当院においては仮に満床で平均在院日数が約2週間だとすると約1,100万円算定できます。仮定ではありますが、システム投資は十分回収できる計算になります。病棟における薬剤使用にかかわるリスクを低減し、そのエビデンスづくりは薬剤部の戦略として重要であり、そうした環境を構築していくうえでJUS D.I.は必ず寄与してくれると期待しています」(日沖氏)。





情報提供環境の整備・充実を目指して

開設した薬剤部院内ホームページ

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薬剤部ではDI活動のシビルミニマム向上を見据え、薬剤部が所有する情報の院内共有をどうすべきか検討してきた。「情報のデジタル化を一層推進し、Webサーバーを利用した薬剤部院内ホームページの公開にこぎ着けました。先の一手を見据えた情報提供環境の整備・充実を実現していくためにも、JUS D.I.による情報は大変役立つと考えています」(日沖氏)。そして、日沖氏は医療技術職としての薬剤師の位置付け、薬剤部のビジョン実現に向けた展望を次のように語った。「看護師が医師の手足であるとすれば、我々医療技術職は、医師のおかれた環境だと思っています。医師が黄門様なら看護師は’助さん’、我々が’格さん’です。これからの長い道のり、安全で快適な旅ができるよう、どんどん環境整備に力を入れていきます」。


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公立富岡総合病院

病院概要
名称:
地方独立行政法人

三重県立総合医療センター
住所:
三重県四日市市大字日永5450-132
Webサイト:
http://www.mie-gmc.jp/
システム開発・導入:
日本ユースウェアシステム(東京・品川)
総販売元:
スズケン

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